中古戸建ての購入を検討する際、価格の内訳や築年数、地域差など、事前に把握しておくべきポイントは多岐にわたります。特に、「土地代」と「建物代」の割合は、資産価値や住宅ローンの審査にも影響するため、重要な判断材料です。本記事では、中古戸建ての購入費の内訳と特徴、エリア・築年数別の相場、必要な諸費用、購入時の注意点について解説します。
中古戸建ての内訳とその特徴

戸建ての住宅を建てる際に必要な費用は、大きく分けて「土地代」と「建物代」の2つ。築年数や地域によって、この割合は変わります。資産価値やローン審査など、さまざまな部分に影響するため、購入する際は割合を考慮することが大切です。
土地と建物の割合
戸建ての建物代・土地代の一般的な割合は、以下の通りです。
| 戸建てのタイプ | 建物代の割合 | 土地代の割合 |
|---|---|---|
| 注文住宅 | 6〜7割 | 4〜3割 |
| 建売住宅 | 5〜6割 | 5〜4割 |
このように、新築戸建ての場合は、総費用のうち建物代の割合が大きい傾向にあります。
しかし、中古戸建ての場合は築年数が経過しているため、建物の価値が下がり、その結果、土地代の割合が上がるのが特徴です。築年数によっては、その差がかなり広がるケースも考えられるでしょう。
築年数による建物価値の減少
建物部分には「法的耐用年数」という基準が設けられています。これはあくまで税務上の減価償却の基準で、実際の住宅の寿命とは異なるものの、市場では建物の価値を判断する1つの目安指標として使われています。
一般的に、法的耐用年数を過ぎた建物は、税務上の価値がゼロとみなされる場合があり、市場でも同様の判断をされやすいでしょう。例えば、木造住宅の場合は20〜22年、鉄筋コンクリート造の場合は40年以上と、建物の構造によっても大きく変わります。
築年数が進むにつれて価値が落ちる理由としては、屋根や外壁、水道回り、内装といった、建物のあらゆる場所の劣化や不具合の発生が挙げられます。10年を超えてくると、修繕や交換が必要になる箇所が増え、20年以上になると大規模なリフォームを検討しなくてはならないことも少なくありません。
都市部と地方における価格比率
土地代と建物の比率は、築年数だけではなく立地によっても変わります。築年数によって建物の価値が変わることについては前項でも触れましたが、土地代には地域差があるため、購入時の費用や資産価値を見極める際には、その点も考慮する必要があるのです。
例えば都市部の場合は、そもそもの土地代が高いため、築年数が経つと、さらに土地代が全体の価格の大部分を占めることになります。一方地方都市の場合は、土地代が安い傾向があるので、築年数が経過したとしても、土地代と建物代の比率は、都市部ほど大きく開きません。
土地代と建物代の割合が重要な理由
中古戸建てを購入する際は、土地代と建物代の割合が非常に重要です。中古戸建ての場合、築年数とともに建物の価値が落ちても、土地代は価値があまり変わらない傾向があるためです。
例えば、土地代の割合が高い物件の場合は、将来的に売却する場合でも売値が下がることが少なく、資産価値が高いといえるでしょう。逆に、建物の割合が大きい物件は、将来的に価格が大きく下がることが考えられます。
割合によっては、住宅ローンの審査に影響する場合もあります。これは、土地代と建物代の評価額に基づいて、ローンの審査が行われるためです。建物の価値が低いと、ローン控除が受けられなかったり、融資額が少なくなったりする場合があります。
また、建物代の割合の低さは、築年数が経過していること、修繕やリフォーム、建て替えが必要になる可能性が高いことを意味しています。購入後に追加で費用が発生し、結果的に予算オーバーになる場合があるため注意が必要です。
中古戸建ての相場を左右する要因

ロケーションや周囲の環境
建物があるロケーションや環境によって、中古戸建ての相場は大きく変わります。まず挙げられるのが交通の便です。駅に近い中古戸建ては、資産価値が下がりにくいため相場が高くなる傾向にあります。
一方、駅から徒歩15分以上歩くような離れた場所の場合は、購入したいと思う人が少ないことから相場は安めです。
周辺の施設や利便性も重要です。スーパーや医療施設、学校が徒歩圏内にあると、生活の利便性が高いと判断でき、相場も高くなるでしょう。
また、ロケーションにおいては、万が一に備えて、災害のリスクについても考慮しなければなりません。ハザードマップで、洪水や津波、土砂災害などの危険がある立地は、相場も下がります。
地盤が頑丈であったり高台に位置していたりする建物は、災害のリスクが低く、相場は高めになるでしょう。
家や土地の状況
道路の幅が狭かったり、接道が十分に確保されていなかったりする土地の場合は、再建築を検討しようにも制限がかかる場合があります。それにより、土地の価格が下がり相場も低くなるでしょう。
三角や旗竿地のような形が整っていない土地や傾斜がある土地の場合も、建て替えなどのコストや維持費も高くなる傾向のため、相場が低くなりがちです。隣の家との境界が曖昧な場合も注意が必要。隣人トラブルに発展する可能性があるため、評価が下がり価値も落ちます。
土地だけでなく家の状態も相場に大きく影響します。雨漏りがする、建物に亀裂が入っている、シロアリの被害を受けている、といったように建物の劣化や不具合がある場合は、大規模な修繕が必要になるケースがあるため、一般的な相場よりも低めの価格設定が行われる場合があります。
家の性能や設備
性能や設備が整っている家は、買い手にとっては魅力的であり、物件を購入する際の判断材料にもなります。そのため、物件の価格相場が高くなる傾向があるといえるでしょう。
ただし、ここまで述べてきたような、立地や家・土地の状況と比べると、相場に影響するのはわずかで、強い影響を受けるわけではありません。
本当に必要な設備なのか、建物のグレードと見合った設備なのか、人の価値観や家との相性はまちまちです。高い性能の設備が整った家だからといって、評価が上がって相場が高くなるとは限らないでしょう。
性能や設備は、わずかに相場に影響する、といった程度の認識に留めておくのがいいでしょう。
エリア別の中古戸建ての相場は?

中古戸建ての相場は、エリアによって差が大きく開きます。首都圏・近畿圏・東海圏・その他の都市の4つに分けて、相場の目安を見てみましょう。
首都圏
首都圏は日本の中でも人口が集中しているエリアです。住宅にかかる費用も全国的に見ると高水準にあります。
以下に、首都圏の平均相場に加えて、東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県の平均相場をまとめました。
| エリア | 中古戸建ての相場(万円) |
|---|---|
| 全国 | 2,535.6万円 |
| 首都圏 | 3,171.9万円 |
| 東京 | 4,444.3万円 |
| 千葉 | 2,526.3万円 |
| 埼玉 | 2,561.9万円 |
| 神奈川 | 3,398.2万円 |
参考:住宅金融支援機構「フラット35利用者調査(2023年度)」
表を見て分かるように、首都圏の相場は全国平均よりもかなり高めです。ただし、同じ首都圏でも、都内と郊外では価格差が大きいことも分かります。例えば、東京と埼玉を比較すると、約1,882万円もの差があります。
これだけの価格差が開くのは、土地代が理由です。東京都内は土地代が高いため、総費用も高くなります。一方、千葉・埼玉・神奈川の郊外は土地単価が低めなので、総費用も抑えられるでしょう。
近畿圏
近畿圏は、首都圏とまではいかないものの、全国的に見て比較的高めの相場です。以下に、全国と近畿圏、代表的なエリアの相場を比較した表を作成しました。
| エリア | 中古戸建ての相場(万円) |
|---|---|
| 全国 | 2,535.6万円 |
| 近畿圏 | 2,138.7万円 |
| 大阪 | 2,707.8万円 |
| 京都 | 2,620.3万円 |
| 兵庫 | 2,520.8万円 |
| 奈良 | 2,094.9万円 |
参考:住宅金融支援機構「フラット35利用者調査(2023年度)」
首都圏ほど差は開いていませんが、都市部である大阪は特に相場が高いことが分かります。特に大阪と奈良を比較すると、その差は約600万円。近隣の府県と比較すると、奈良の地価が低いため、相場が安くなっているといえます。
東海圏
東海圏は全国平均の相場よりもやや低めです。ただし、エリアによって差が大きく開いていることが分かります。
| エリア | 中古戸建ての相場(万円) |
|---|---|
| 全国 | 2,535.6万円 |
| 東海圏 | 2,268.0万円 |
| 静岡 | 1,868.5万円 |
| 愛知 | 2,935.8万円 |
| 岐阜 | 1,635.8万円 |
| 三重 | 1,807.9万円 |
参考:住宅金融支援機構「フラット35利用者調査(2023年度)」
東海圏の中でも、特に金額が突出しているのが愛知。これは、ここ数年で愛知の地価が上昇し続けているのが理由です。
地価が上がっているのは、愛知が経済や交通の中心であることが背景として考えられます。空港や高速道路などのインフラ整備が整っていることで、交通の面で非常に利便性の高いエリアです。
また、愛知県の名古屋市は、政令指定都市の1つで、日本では大阪に次いで大きいとされています。区画整理や公共施設建設などの計画に加え、リニア開業に向けても周辺の整備も進められています。
このように、愛知が都市化に向けて加速していることが、地価の上昇につながり、さらに中古戸建ての相場の高さにも影響しているといえるでしょう。
その他の都市
その他の都市の中古戸建ての相場についても見てみましょう。
| エリア | 中古戸建ての相場(万円) |
|---|---|
| 全国 | 2,535.6万円 |
| 北海道 | 2,391.1万円 |
| 宮城 | 2,261.9万円 |
| 広島 | 1,678.3万円 |
| 福岡 | 2,438.0万円 |
参考:住宅金融支援機構「フラット35利用者調査(2023年度)」
北海道や宮城、福岡といった地方の主要都市は、全国の相場と大差がありません。一方、広島は全国の相場よりも約800万円も差があります。これにはさまざまな要因があることが考えられますが、そのうちの1つとして挙げられるのが、広島県内の中古戸建ての築年数が比較的古いことです。
築年数が経過すればするほど、建物としての資産価値が落ちてしまうため、相場が必然的に安くなる傾向があります。
築年数で見る中古戸建ての価値と相場

以下は、築年数別で見る、中古戸建ての価値と相場をまとめた表です。なお、あくまで築年数ごとの比較をするため、相場は首都圏のデータを出しています。
| 築年数 | 費用相場 (首都圏) | 下落率 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 〜築5年 | 5,164万円 | – | ・劣化があまり見られず、新築に近い |
| 〜築10年 | 4,871万円 | 5.67% | ・軽微なメンテナンスが必要な場合がある ・築5年までの建物よりは下落するが、そこまで大きな差はなく、資産価値は高め |
| 〜築15年 | 4,811万円 | 6.84% | ・水回りの見直しが必要 ・内装の劣化が進んでいる ・クロスやフローリングの張り替えが必要になる場合も |
| 〜築20年 | 4,394万円 | 14.91% | ・戸建ての資産価値はほとんどなくなる ・水回りなどの設備の劣化が見られるようになる |
| 〜築25年 | 4,407万円 | 14.66% | ・木造の戸建ての場合は、耐用年数を超えるため、資産価値はほぼゼロになる可能性あり ・土地評価が価格の主体となる傾向あり |
参考:首都圏中古マンション・中古戸建住宅 地域別・築年帯別成約状況 【2025年01~03月】|公益財団法人 東日本不動産流通機構
中古戸建て購入時に必要な諸費用は?

中古戸建てを購入する際には、購入価格に加えて諸費用が発生します。これらは、契約時・引き渡し時・購入後と、支払うタイミングが複数あるため、あらかじめ、いつ何の費用を支払う必要があるのかを把握しておくことが大切です。
新築の諸費用との違い
同じ建物であっても、新築と中古ではかかる諸費用に違いがあります。新築の場合は、建築費の消費税、住宅性能評価書取得費用が含まれるのが一般的です。一方、中古の場合は、仲介手数料や瑕疵保険加入費用、リフォーム費用などが主な諸費用として挙げられます。
契約時にかかる諸費用
まず、中古戸建ての契約時にかかる諸費用を一覧にまとめました。合計すると、物件価格の5〜10%程度になると見込まれます。
| 項目 | 概要 | 費用の相場 |
|---|---|---|
| 手付金 | 売主に支払う前払金 | 売買価格の5〜10% |
| 仲介手数料 | 仲介した不動産会社へ支払う手数料 | 売買価格×3%+6万円+消費税 |
| 印紙税 | 売買契約書に貼付 | 2,000〜6万円(契約金額)によって異なる |
| ローン事務手数料 | 金融機関に支払う手数料 | 数万〜数十万 |
| ローン保証料 | ローン返済が不可能になった場合に保証を受けるための費用 | 借入額の0.2〜2% |
| 登録免許税 | 住宅ローンを利用する際の登記(抵当権設定)費用 | 借入額の約0.4% |
| 司法書士報酬 | 登記手続きのための費用 | 1〜13万円 |
引き渡し時にかかる諸費用
建物を引き渡す時にも、以下の費用がかかります。
| 項目 | 概要 | 費用の相場 |
|---|---|---|
| 登記費用 | 所有権移転登記にかかる登録免許税、司法書士報酬 | 登記にかかる税金:固定資産評価額の約0.4〜2% 司法書士報酬:数万〜数十万 |
| 固定資産税・都市計画税 | 引き渡し日までの日割りで精算された金額 | 固定資産税:固定資産評価額×1.4% 都市計画税:0.3〜0.4%(市町村によって異なる) |
| 仲介手数料の残金支払い | 契約時に支払った仲介手数料の残金 | – |
| 火災保険・地震保険料 | 引き渡しに加入した保険の保険料 | 数万〜数十万(年間) |
購入後にかかる諸費用
引き渡し後、住宅の維持や生活に必要な費用もあります。
| 項目 | 概要 | 費用の相場 |
|---|---|---|
| 引越し費用や初期リフォーム費用 | 新居に引っ越すための費用や、必要なリフォームの初期費用 | 家族構成や引越し距離、荷物の量によって異なる |
| 家具・家電の購入費 | 新生活での必要性に応じて購入する家具や家電 | ライフスタイルによって異なる |
| 不動産取得税 | 物件取得後に、都道府県から課される税金 購入から数か月後に請求がくる場合がある | 課税標準額に税率をかけたもの(軽減措置や控除あり) |
中古戸建てを購入する際の注意点は?

中古戸建ては新築に比べて低価格で購入できるため、総費用を抑えられるのがメリットですが、一方で注意すべき点もあります。特に、建て替えの可否やリフォーム費用、住宅ローン控除の条件などは、資産価値や安全性に大きく影響するため、あらかじめ調査しておくことが大切です。
建替不可の場合がある
中古戸建ての中には、既存の建物を建て替えできない「再建築不可物件」があります。建築基準法においては、再建築の条件として「敷地が幅4m以上の道路に2m以上接していること」とされています。
売値が通常の価格よりも安い傾向があるため、「お得に購入できる」と思うかもしれません。しかし、このような物件はそもそも古い建物であるケースが多いため、資産価値が低く売却が難しかったり、メンテナンスに費用がかかる場合があります。
リフォームの費用が高額になる場合がある
築年数によっては大きな劣化が見られ、そのための大規模リフォームが必要になるケースもあります。リフォームに必要な費用は、状態によっても異なりますが、数十万〜数百万と高額です。なかでも、耐震補強や設備交換には多くの費用がかかります。
一見きれいに整っているように見えても、実は劣化している場合もあるので、中古戸建てを購入する際は、住宅診断を受けるようにしましょう。
住宅ローン控除の対象外になるケースがある
中古戸建てを購入した人すべてが住宅ローン控除を受けられるわけではありません。控除を受けるには、以下の条件を満たしている必要があります。
- 住宅の引き渡しもしくは工事完了から6か月以内に入居し、その年の12月31日まで継続して居住する
- 登記簿上の床面積が50平方メートル以上である
- 新耐震基準に適合していること(※証明書があれば控除対象になる場合あり)
- 金融機関や住宅金融支援機構などから住宅ローンを借入れ、10年以上の返済期間である
- 控除を受ける年の合計所得が2,000万円以下である
- 住宅の床面積のうち2分の1以上が居住用である
これらの条件に当てはまるかどうか、事前に確認しておきましょう。
建築基準法改正前の物件かどうかを確認する
1981年6月に、建築基準法が改正されました。それより前に建築された物件は、耐震性能が低く安全とは言い切れません。このような物件は、新耐震基準を満たしていないため、住宅ローン控除が受けられないほか、リフォームの際に耐震補強が必要になる可能性があり、費用がかかります。
中古戸建てを購入する際は、金額だけに目を向けるのではなく、築年月と耐震基準が適用されているかどうかもしっかりと調査しましょう。
中古戸建ての相場を知って理想の住まいを手に入れよう

中古戸建ての価格は「土地代」と「建物代」に分けられ、割合はエリアや築年数によって大きく変わります。築浅であれば建物代の割合が高い一方、築年数が経つほど建物価値が下がり、土地代の割合が増えるのが特徴です。
また、土地の立地条件や周囲の環境も、相場に影響します。さらに、物件価格以外にも必要な諸費用があること、住宅ローン控除の適用条件、耐震基準の確認なども、購入する上では把握しておくべきポイントです。購入希望エリアの最新情報を踏まえて、理想の中古戸建てを購入しましょう。
もし費用の問題で中古住宅を選んでいるのであれば、「建築市場」で注文住宅を建てるという選択肢もあります。「建築市場」は施主と建築士・職人を直接つなぐ新しい家づくりのプラットフォーム。ハウスメーカーを介さないため、従来の注文住宅よりもコストを抑えることが可能です。造作収納や素材選びなど細部までこだわったフルオーダー設計が可能で、不明瞭な費用や意思疎通の不安も解消しやすく、理想の住まいを実現できます。
