注文住宅を建てる際は、土地代や建築費だけでなく、「諸費用」と呼ばれるさまざまな費用が発生します。登記や税金、住宅ローン手数料、地盤改良費用など、思わぬ出費が発生することも少なくありません。本記事では、注文住宅にかかる諸費用の内訳や支払うタイミング、金額の目安、費用を抑える工夫まで幅広く詳しく解説します。これから家づくりを検討している人は、資金計画に役立ててみてください。
注文住宅における諸費用とは?

注文住宅の諸費用とは、建築費以外にかかる、さまざまな費用のことを指します。諸費用は、建築費のようにローンで支払えず、基本的には現金での支払いが必要です。本記事では、注文住宅における諸費用について、概要と費用の目安について解説します。
建物などの建築以外で必要になる費用のこと
注文住宅での「諸費用」とは、住宅の建築費以外の費用を指しており、土地の購入に必要な諸費用・家の建築に必要な諸費用・住宅ローンを利用するうえで必要な諸費用の3つがあります。
具体的には後ほど詳しく紹介しますが、例えば、地盤調査費用や、所有権を移転するための登記費用、不動産会社への仲介手数料などが挙げられます。
さらに、戸建の場合は集合住宅と異なり、電気やガス、上下水道のインフラ整備が必要なため、引き込み延長や加入金、引き込み工事費用が必要なケースも。工事には多額の費用が必要な可能性があるため、資金準備をしっかりしておくと安心です。
支払いは現金が基本
諸費用は、ローンなどに組み込むことは難しいため、基本的には現金で支払わなくてはなりません。ただし昨今では、諸費用をローンで支払える「諸費用ローン」の利用が可能です。
ただし、通常のローンに比べて金利が高かったり、取り扱いがなかったりするほか、支払い額の割合や上限が決められているケースもあります。そのため、諸費用は現金で払えるように準備しておくと安心です。
また、諸費用の支払いは、契約から引き渡しまでの間に複数回に渡って発生するため、計画的に資金を準備することが重要です。内容によっては、まとまった額を支払う場合もあるので、しっかり資金管理をしておきましょう。
支払額は建築費の15〜25%ほどが目安
気になるのが、諸費用の金額です。一般的には、土地代と建築費を合わせた額の15〜25%ほどが諸費用の目安といわれています。
| 建築費 | 諸費用の目安 |
| 2,000万円 | 300〜500万円 |
| 3,000万円 | 450〜750万円 |
| 4,000万円 | 600〜1000万円 |
数百万円の支払いが必要になるため、ある程度の現金を手元に置いておく必要があります。
注文住宅に必要な諸費用の各項目と費用の目安は?

注文住宅に必要な諸費用は、土地を購入する際、家を建築する際、住宅ローンを利用する際にそれぞれ必要です。ここでは、必要となる費用の内訳と目安を紹介します。
土地を購入する際に必要な諸費用
土地を購入する際には、必ずかかる費用と、場合によって支払いが必要になる費用とがあります。
| 必ず支払う諸費用 | 場合によって支払う諸費用 |
| 仲介手数料 | 解体費用 |
| 印紙税 | 水道・ガスの引き込み費用 |
| 不動産取得税 | 地盤改良費用 |
| 登録免許税 | 農地転用手続き費用 |
| 司法書士報酬 | 測量費用 |
それぞれを以下で詳しく見ていきましょう。
必ず支払う諸費用
<仲介手数料>
仲介手数料は、土地購入の際に仲介してくれた不動産会社に支払う費用で、土地購入に必要な諸費用の大部分を占めます。上限額が定められており、「土地代金×3%+6万円+消費税」で算出します。
例えば、土地代が2,000万円の場合は、「(2,000万円×3%+6万円)×1.1%(消費税)」で、726,000円の手数料がかかる計算です。
<印紙税>
印紙税は、売買契約書に貼る必要があるため必要です。土地の購入価格に応じて、印紙代が決められています。
なお、2029年3月31日まで軽減税率の適用が延長されています。
| 土地代 | 印紙代 | 軽減税率適用後の印紙代 |
| 100万円超500万円以下 | 2,000円 | 1,000円 |
| 500万円超1,000万円以下 | 10,000円 | 5,000円 |
| 1,000万円超5,000万円以下 | 20,000円 | 10,000円 |
| 5,000万円以上1億円以下 | 60,000円 | 30,000円 |
参考:No.7108 不動産の譲渡、建設工事の請負に関する契約書に係る印紙税の軽減措置
<不動産取得税>
土地を購入し取得した人に課せられるのが、不動産取得税。「固定資産評価額×3%」の計算式で算出されます。本来は4%の税率ですが、2027年3月31日まで、軽減税率が適用されています。
固定資産評価額は、土地の公示価格の約70%。つまり、2,000万円の土地の場合、固定資産評価額は「1,800万円×70%×4%=504,000円」となります。
<登録免許税>
不動産所有権の登記に必要なのが登録免許税で、「固定資産税評価額×1.5%」で算出されます。本来の税率は2%ですが、2026年3月31日まで、軽減税率が適用されて1.5%です。
土地代2,000万円(公示価格1,800円)の場合は、「1,800万円×70%1.5%」で189,000円の登録免許税がかかります。
<司法書士報酬>
司法書士報酬は、登記の手続きを司法書士にお願いする際に発生します。費用は司法書士によって異なるうえ、明確に取り決められたものがありません。
あくまで目安ではありますが、5〜10万円くらいが必要と考えておくと良いでしょう。
場合によって支払う諸費用
<解体費用>
建物がある土地を購入した場合には、建物を解体する作業が必要です。建物の造りによって費用は異なりますが、1坪あたり5〜10万円が相場といわれています。
以下は、構造別の解体費用の目安です。
| 建物構造 | 解体費用(1坪あたり) |
| 木造 | 3〜4万円 |
| 鉄骨造 | 4〜5万円 |
| RC増 | 5万円以上 |
<水道・ガスの引込費用>
家を建てるにあたり、インフラの整備は欠かせません。上下水道やガスなどの設備を整える必要がある場合は、50〜100万円ほどが必要です。
また水道設備の場合は、加入金を支払って、設備費の一部を負担しなければなりません。加入金は自治体によって異なりますが、30万円くらいが相場といわれています。
<地盤改良費用>
家を建てる前には、問題なく建物が建てられる土地かどうかの調査が必要です。調査自体は5万円程度でできますが、改良が必要と認められた場合には、30〜100万円ほどかけて工事する必要があります。補助金が出る場合があるため、各自自体に確認しておくといいでしょう。
<農地転用手続き費用>
購入した土地が、もともと畑や田んぼとして使われていた場合は、「宅地」に変更しなければなりません。申請自体にはお金がかかりませんが、専門知識が必要な手続きのため、行政書士などを介して進める必要があります。そのため、報酬として10〜20万円ほどの支払いが必要です。
<測量費用>
購入した土地と隣の土地との境界が不明瞭な場合は、所有者間のトラブル防止のため、測量して境界を決める必要があります。売主が測量費用を負担するケースもありますが、状況によりけりです。
もし、買主で負担する場合は、30〜60万円程度の測量費用がかかることを把握しておきましょう。
家を建築する際に必要な諸費用
建物の建築にも必要な諸費用があります。
<建築確認申請費用>
建築する家が、建築基準法に反していないかどうかを確認するための申請が必要です。申請書類の作成は、建築士に依頼します。費用は建物の構造によって異なりますが、3〜30万円が目安です。
<印紙税>
建物の工事に必要な「建設工事請負契約書」に貼る印紙代です。土地購入時と同様、契約金額によって印紙代が異なります。
| 契約金額 | 印紙代 | 軽減税率適用後の印紙代 |
| 100万円超500万円以下 | 2,000円 | 1,000円 |
| 500万円超1,000万円以下 | 10,000円 | 5,000円 |
| 1,000万円超5,000万円以下 | 20,000円 | 10,000円 |
| 5,000万円以上1億円以下 | 60,000円 | 30,000円 |
参考:No.7108 不動産の譲渡、建設工事の請負に関する契約書に係る印紙税の軽減措置
<登記費用>
新しく建物を建てる場合、その存在を法律的に登録するための「建物表示登記」と、誰の所有物であるかを記録するための「所有権保存登記」のそれぞれの費用がかかります。
建物表示登記は、手続きを依頼する司法書士への報酬を含めて8〜15万円ほどが相場です。
所有権保存登記には登録免許税の支払いが必要で、「固定資産税評価額×0.4%」の計算式で算出されます。例えば、固定資産評価額が1,500万円の建物の場合は、60,000円の登録免許税がかかります。
加えて、司法書士報酬が必要で、報酬の目安は1〜5万円程度です。
<地鎮祭・上棟式費用>
着工の合図となる儀式、地鎮祭を行う場合は、神主への謝礼として5〜10万円ほどの費用がかかります。
住宅ローンを利用するにあたって必要な諸費用
土地の購入や住宅の建築に住宅ローンを組む人は、ローン契約時の諸費用が必要です。
<手数料>
ローンを組む場合は、金融機関に手数料を支払わなければなりません。金融機関や定率型か定額型かによっても異なります。定率型の場合は借入額の2.2%、定額型は3〜5万円が相場なので、2〜30万円くらいが手数料の目安と考えておきましょう。
<保証料>
返済が難しくなった場合に備えた、ローン保証も必要です。借入額×2.2%(最大)が目安の保証料とされています。例えば、2,000万円を借りた場合は、約440,000円の保証料が必要です。
<火災保険料・地震保険料>
ローンを契約する際には、火災・地震保険への加入が必要です。保証内容や建物の構造によっても異なりますが、火災保険の相場は14〜40万円、地震保険は1,000万円あたり5万円が相場とされています。
その他、引っ越し関連の費用や税金も必要
住宅建築に関する費用以外にも、住むための引越し費用や、住んだ後にかかる税金などの支払いも発生します。
<引越し関連の費用>
引越しの費用は、距離や作業時間、荷物の量によって大きな差があるため、一概にはいえません。3〜4月の新年度は引越しの繁忙期のため、その時期を避けることで、費用を抑えられます。
また、新生活に合わせて家具や家電を新調する人もいるでしょう。こちらも、前の家で使っていたものを引き続き使うなどして、必要なものだけを買い足せば、購入費の節約につながります。
<固定資産税・都市計画税>
固定資産税と都市計画税も支払いが必要です。固定資産税は「固定資産税評価額×1.4%」、都市計画税は「固定資産税評価額×0.3%」で算出します。
支払い方は、所有権が変わった日を基準に、前の所有者が負担していた分を日割り計算して支払う方法が一般的です。
注文住宅の諸費用を支払うタイミングはいつ?

諸費用を支払うタイミングは、土地契約の時、建築請負契約の時、着工時、引き渡し時の4つです。前項で紹介した諸費用を、タイミング別に振り分けてみました。
| 支払うタイミング | 支払い項目 |
| 土地を契約する時 | ・仲介手数料(半金または全額) ・印紙税(売買契約書) ・登録免許税(土地の所有権移転登記) ・司法書士報酬(登記手続き) ・不動産取得税(※後日請求だがタイミングはここ) ・測量費用(必要な場合) ・農地転用手続き費用(該当する場合) |
| 建築請負の契約をする時 | ・印紙税(建設工事請負契約書) ・仲介手数料(残額:建物分) |
| 着工時 | ・建築確認申請費用 ・解体費用(古家付き土地の場合) ・地盤改良費用(必要に応じて) ・水道・ガスの引き込み費用 ・地鎮祭・上棟式費用 |
| 完成・引き渡し時 | ・登記費用(建物表示・保存登記) ・司法書士報酬(登記関連) ・住宅ローン手数料 ・保証料(ローン保証) ・火災保険料・地震保険料 ・引越し関連の費用 ・固定資産税・都市計画税(精算または納税) |
注文住宅の諸費用が支払えない時はどうする?

注文住宅の建築では、土地購入や工事、各種手続きに多くの諸費用が発生するため、資金面で不安を感じている人もいるでしょう。ここでは、諸費用の支払いが難しい場合の対処法を解説します。
住宅ローンへの組み込みを検討する
諸費用は基本的には現金払いであると解説しましたが、実は、住宅ローンに組み込む方法もあります。実際、金融機関の中でも特にネット銀行では、諸費用を合わせて融資するローンを扱っているところが見られます。
住宅ローンに組み込める諸費用は、登記費用や保険料といった、住宅ローンが実行された後に発生する費用です。組み込める諸費用の範囲は金融機関によって異なるので、事前に情報収集しておくといいでしょう。
なお、諸費用を住宅ローンに組み込めば、初期費用を抑えられるというメリットこそありますが、その分返済額が増えたり返済期間が長期化したりすることには十分注意してください。
「つなぎ融資」を利用して、着工前の諸費用をまかなう
「つなぎ融資」とは、住宅ローンでの融資が実行される前に必要な資金を借りるためのローンのことです。住宅ローンは、土地や建物を担保に融資するもの。引渡しの際に融資されるケースが多いため、その前に支払いが必要な諸費用には、住宅ローンは使えません。
しかし「つなぎ融資」であれば、建物が完成する前でも融資してもらえ、のちに住宅ローンと一本化されるのが通常です。
家族から援助を受ける
注文住宅を建築する際、家族から費用面での援助を受けるのも一つの方法です。通常、金銭のやりとりがあった場合には「贈与税」がかかりますが、住宅建築のための援助の場合は、「住宅取得資金贈与の特例」を受けることで、省エネ等住宅の場合なら最大で1,000万円までが非課税となります。
なお、この特例を受けるには、援助を受けた翌年2月1日〜3月15日の間に贈与税の申告が必要です。不明点がある場合は、最寄りの税務署で相談してみると良いでしょう。
注文住宅にかかる諸費用を抑える4つのコツ

注文住宅では、土地代や建築費用以外にもさまざまな諸費用が発生します。予算が限られている場合は、こうした諸費用を少しでも抑える工夫が重要です。ここでは、補助金制度の活用や仲介手数料の削減、住宅ローンの見直といった、実践しやすく効果的な4つの方法を紹介します。
国の補助金制度を活用する
国や自治体の補助金制度を活用することも、諸費用の負担を軽減できます。補助金制度の一例は以下の通りです。
- ZEH補助金
- 子育てエコホーム支援事業
- 東京ゼロエミ住宅(東京都)
条件を満たしていれば、数十万〜100万円以上の補助を受けられることもあります。また、長期優良住宅や認定低炭素住宅などは、登記費用や固定資産税の軽減措置が適用される場合も。利用には申請期限や基準の確認が必要なので、早めに情報収集しておきましょう
仲介手数料を抑える
土地を購入する際、不動産会社に仲介してもらうと、仲介手数料が発生します。土地の大きさにもよりますが、高値の土地の場合は仲介手数料が100万円を超えることも。
しかし、売主から直接購入できれば不動産会社が仲介しないため、当然仲介手数料も発生しません。ハウスメーカーなどが所有している、建築条件付きの土地なら売主から直接購入できるので、相談してみるといいでしょう。
そのほか、仲介手数料が「半額」「なし」とうたっている不動産会社を選ぶのも手です。仲介手数料を抑えられるからといって、サービス内容に変わりはないので、選択肢の一つとして考えてみてはいかがでしょうか。
利用する住宅ローンを再検討する
住宅ローンを利用する際の諸費用も、負担が大きい部分です。例えば、手数料は「定額型」と「定率型」があり、「定率型」を選んでいる場合は、借入額が増えるほど手数料も高額になります。定額型を選んで手数料を抑えるのも一つです。
また、住宅ローンを契約する際に加入する、火災保険や地震保険の保険料の見直しも有効。補償内容を見直すことによって、保険料を抑えられる可能性があります。
家具や家電を作り付けにする
新しい住まいに合わせた家具や家電を新調する場合は、その分初期費用が必要です。しかし、これらを建築工事に含めれば、諸費用として支払う必要はありません。例えば、以下のような家具屋家電を作り付けにして、建築費用に含めるのが一つです。
- エアコンなどの空調
- テーブル
- カーテン
- 照明 など
諸費用を抑えられるのはもちろんですが、搬入のための費用や設置の手間などが削減できる点も魅力です。
注文住宅の諸費用に関するよくある質問

注文住宅にかかる諸費用については、契約や工事の内容によってさまざまな疑問が生じがちです。ここでは、消費税の扱いや建売住宅との違いなど、よくある質問に答える形で解説します。
諸費用には消費税はかかる?
注文住宅を立てる際はさまざまな費用が発生しますが、その中で消費税がかかる主な費用は以下の通りです。
- 仲介手数料
- 住宅ローンの手数料
- 登記に伴う司法書士報酬
消費税は、商品やサービスなどを取引に対して課税されるもの。不動産会社の「仲介」や住宅ローン手数料、司法書士への報酬は、いずれもサービスにあたるため課税対象となります。例えば、3,000万円の注文住宅を購入する際の仲介手数料が90万円であれば、9万円の消費税が加算されて99万円の支払いが必要です。
なお、登記費用については、司法書士へ登記の依頼をする際の報酬のみに消費税がかかり、登記自体にはかかりません。
建売住宅とは諸費用の違いはある?
ここまで解説してきたように、注文住宅は土地購入から請負契約、登記など費用がかかる項目が多いため、その分諸費用が割高。一方、建売住宅は物件価格に含まれている費用も多いため、諸費用の額としては抑えられる傾向にあります。
| 諸費用の割合(目安) | 諸費用合計目安(3,000万円の住宅の場合) | |
| 注文住宅 | 15〜25% | 450〜750万円 |
| 建売住宅 | 5〜10% | 150〜300万円 |
また、諸費用を支払うタイミングも異なります。注文住宅の場合は、土地購入時と工事時など、複数回にわたって支払いが発生するため、資金計画が複雑になりかねません。一方建売住宅の場合は、引渡しのタイミングで一括精算するケースが多く、支払い方法がシンプルです。
注文住宅建設の際は諸費用も考慮して予算を考えよう

注文住宅の諸費用は、土地購入・建築・ローン契約・引越しなど、さまざまな場面で発生し、総額で数百万円にのぼるケースも珍しくありません。また、支払いのタイミングが複数回に分かれるため、あらかじめ資金計画を立てておくことも重要です。負担を軽減するためには、補助金制度の活用や、仲介手数料の削減をはじめとする工夫を取り入れるのがポイント。納得のいく住まいづくりを実現するためにも、諸費用の知識を押さえ、しっかりと予算を組みましょう。
